エッセイ

秋川雅史の彫刻鑑定 その2

2021年10月21日

 

ところで今回の、意見が割れた鑑定というのは、「なんでも鑑定団」に出演した時に起きた、私にとっては衝撃の判定である。
私はある大手のオークション会社からこの作品を670万円で購入した。
オークションというと、クリスティーズやサザビーズという名前は誰でも聞いた事があるのではないだろうか。
世界中の美術作品や骨董品などがここに集まり、世界中のコレクターが競り合って落札する。
世界のお宝はやはり落札される金額の大きさも半端ない。
日本にもこのような、日本をはじめ世界の美術品が出品され、世界中のコレクターが集まり競うオークション会社がある。
その日本最大手のオークション会社が主催する競りで落札したのが、今回の石川光明の“野猪”だ。
大手のオークション会社になると、もうその会社の中に専門の鑑定家が在籍し、場合によっては外部の専門家に委託をし、事前鑑定を行い、会社として自信を持って本物であると言えるものしか出品しないのである。
その信用が、大手のオークション会社として長年君臨してきた理由でもあるのだ。
そしてそこに集うバイヤーたちも、一流のコレクターや美術商の業者の人たちであるので、目利きの人たちばかりだ。
オークションの数日前から下見会という、作品を実際に手に取って見れる機会があり、入札を希望する人はじっくりと作品を吟味して競りに参加をする。
そんな中行われた競の当日、やはり石川光明の“野猪”という事で、簡単には競り落とさせてはもらえない。
オークション会社があらかじめ設定している予想落札価格をあっという間に超えていき、多くの人で値段を競い合った。
最終的にはこの作品に対しての熱意、木彫刻作品に対しての情熱が上回り、私が落札する事が出来た。
ここでひとつ言える事は、この作品を出品した大手オークション会社、それを落札しようと入札したコレクターや業者の多くの人の鑑定を通過して、この作品が私の手元に届いたという事である。

 


 

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